『日本興国論』
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〔副題〕 この国を愛する者の正しい見識
〔著者〕 渡部昇一
〔シリーズ〕 -
〔出版社〕 致知出版社
〔発行年〕 2012-10-05
〔ページ〕 221頁
〔ISBN等〕 978-4-88474-976-7
〔価格〕 定価=本体1300円+税
〔箱・帯〕 箱:なし 帯:不明
〔体裁〕 四六判:18.8×12.9)cm
〔図表〕 なし
〔注記〕 -
〔分類〕 図書
〔備考〕 -

 

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目次
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まえがき

 

【第一章】領土問題にいかに立ち向かうか

【第二章】国家崩壊の危機に瀕する日本

【第三章】脱原発ムードの背景を読む

【第四章】放射能幻想に惑わされるな

【第五章】指揮官の資質について考える

【第六章】近隣諸国との付き合い方

【第七章】正しい歴史観を身につけるために

 

あとがき

 

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関連部分
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・「冷静になれば、国賊的策謀が見えてくる」(「第三章 脱原発ムードの背景を読む」より)
《政府は原発から二十キロ圏、三十キロ圏の円周を設定して住民を強制的に立ち退かせ、移住させた。そのために亡くなったお年寄りや病人がいる。そして強制移住させられた住民の多くは生活基盤を失い、苦しい生活を強いられることになった。これは大変な被害である。

では、これは原発事故による被害なのか。そうではない。政府の対策による被害なのである。福島の被害と言われるものは原発事故の直接被害ではなく、政府の対策による被害であることをはっきり認識しなければならない。(中略)

もう一つ、中川八洋氏(筑波大学名誉教授)の指摘している例をあげよう。原発事故発生後、政府がまず決めたことは、原発事故被害の賠償金約十兆円を東電に支払わせることだった。避難地域を設定して住民を強制的に立ち退かせ立ち入り禁止にしたのは、東電による賠償金支払い計画が決定した後なのである。話の順序が逆だ。》(PP.82-4)


・「自然エネルギー発電は神話、否、妄想である」(「第四章 放射能幻想に惑わされるな」より)
《原発問題については前に述べたが、この問題はいま、非常に危険な段階にきている。依然として消えない脱原発の叫びがそれである。原発をどうするか。これは日本の重大な岐路である。前に述べたことを補足しつつ、さらにこの問題を述べたい。

『激論』Vol.2で筑波大学名誉教授の中川八洋氏が《「脱・原発」が狙う日本経済の破綻》と題して論じておられる。中川氏は東大工学部から科学技術庁に入り、転じて筑波大学で教鞭を執られたその道の専門家である。カーター政権時代、核不拡散政策で日本にはウラン濃縮やプルトニウク再生処理の工場建設の権利さえ認めようとしない国際社会に対し、日本首席代表として出席したパリの国際会議で、その権利を認めさせた手腕を持つ。こういう人の意見が私と同じであったことは、非常に嬉しいことであった。

 

しかも、中川氏は専門家だけに、具体的な科学的根拠に基づいてポイントをしっかり押さえておられる。中川氏の議論に私の考えを交えつつ、以下を述べていくことにする。》(PP.94-5)

 

《脱原発の掛け声とともに、その代替として浮上したのが太陽熱、風力、地熱、水力などの自然エネルギーである。だが、想定すべき津波などのことを想定せずに、循環冷却水用予備電源のディーゼル発電機を、原子炉建屋よりも弱いタービン建屋に設置するなどの設計ミスを犯し、過酷事故に備えた改造や機器の整備、訓練を怠っていた。これらの問題点について指摘があったにもかかわらずそのままにして唱えられた原発安全神話に対して、太陽光、風力、地熱、水力への転換を唱える脱原発論を、中川氏は自然エネルギー神話と呼ぶ。なるほど、自然エネルギー発電の実態を見れば、神話というよりも妄想話と呼ぶほうがふさわしい。》(PP.95)

 

《最後に残るのは地熱発電だが、中川氏によると、高温岩体発電なるものが原発に代わり得る可能性があるという。しかし、これは理論的に可能というだけで、技術的にはまったく手がついていない絵に描いた餅の段階である。》(P.98)

 

《以上見てきたように、自然エネルギー発電は神話以前の妄想でしかないことは紛れもない。にもかかわらず、菅前首相はドービル・サミットで総電力の二〇%を自然エネルギーで賄うサンライズ計画なるものをぶち上げた。中川氏は、「サンセット内閣によるサンセット計画だ」と手厳しいが、私も同感である。》(P.98)

 

・「技術に完全な安全はないが、そこに無限に近づくことはできる」(「第四章 放射能幻想に惑わされるな」より)
筑波大学名誉教授の中川八洋氏は、いかなる技術でも、技術に完全なる安全はない、と言っておられる。まったくそのとおりである。安全性の上に安全性を追求しても、自動車事故で毎年約五千人が死ぬ。飛行機事故が起これば百人単位で死ぬ。だが、自動車をやめる、飛行機をやめる、とはならない。より高い安全性を追求していくのみだ。》(P.104)


・「大成功の後にくるもの──山本五十六と西郷隆盛」(「第五章 指揮官の資質について考える」より)
《ブームというほどではないが、山本五十六がちょっとした注目を集めている。半藤一利著『聯合艦隊司令官山本五十六』が出版され、これを原作にして映画がつくられた。と思うと、これとはまったく見方を異にする中川八洋氏著『連合艦隊司令長官山本五十六の大罪』が出る、といった具合である。テレビでも関連番組が放映されている。》(P.133)

(引用者注:著者は同著帯に推薦文を寄稿している)


(以上、引用文の行あけは引用者による)
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著者略歴
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渡部昇一(わたなべ・しょういち)
昭和5年山形県生まれ。30年上智大学文学部大学院修士課程修了。ドイツ・ミュンスター大学、イギリス・オックスフォード大学留学。Dr.phil., Dr.phil.c.平成13年から上智大学名誉教授。幅広い評論活動を展開する。著書は専門書のほかに『四書五経一日一言』『渋沢栄一 人生百訓』『「名将言行録」を読む』『論語活学』『歴史に学ぶリーダーの研究』『「修養」のすすめ』『中村天風に学ぶ成功哲学』『松下幸之助 成功の秘伝75』『賢人は人生を教えてくれる』。共著に『上に立つ者の心得──「貞観政要」に学ぶ』『子々孫々に語り継ぎたい日本の歴史1・2』『生き方の流儀』『国家の実力』(いずれも致知出版社)などがある。

 

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所蔵
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国立国会図書館 あり(請求記号:EB98-J1189)
http://iss.ndl.go.jp/
都立中央図書館 なし
都立多摩図書館 なし

 

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情報元
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他文献
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・「昇一塾」ニュースレター
121ページに《本書は、平成二十三年七月一日から平成二十四年九月二十八日にわたって「昇一塾」ニュースレター(運営は致知出版社)として配信されたものに加筆・修正をし、さらに新たな原稿を加え、再編成したものです。》とある。

 

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備考
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内容
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更新履歴
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2014-05-04

 


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