『瀬島龍三と宅見勝「てんのうはん」の守り人』
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〔副題〕 -
〔著者〕 鬼塚英昭
〔シリーズ〕 -
〔出版社〕 成甲書房
〔発行年〕 2012-04-10
〔ページ〕 299頁
〔ISBN等〕 978-4-88-86-288-0
〔価格〕 本体1800円(税別)(1,890円)
〔箱・帯〕 箱:なし 帯:あり
〔体裁〕 四六判 19.7cm×13.8cm
〔図表〕 あり
〔注記〕 引用文献一覧;298~299頁
〔分類〕 図書

 

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関連部分
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《さて、私は中川八洋の『近衞文麿の戦争責任』(二〇一〇年)を引用しようと思う。世にも恐ろしきことが書かれている。

  近衞案は、「賠償として一部の労力を提供することには同意す」[条件の(四)のイ項]としている。満洲や樺太から「六十四万人以上」(ソ連崩壊後にKGBが公表した数字)、実際には百五万人の日本の将校が不毛のシベリアに抑留され極寒の重労働を強いられたが、これは近衞文麿が公式にスターリンに提案する予定になっていた。(中略)
  シベリアから帰国した数ははっきりしていて五十万人であるから、六十四万人が抑留されたとすれば、十四万人が殺されたことになる。(中略)
  ポツダム宣言のほうが、近衞文麿という自国の元首相よりも、日本の国益をはるかに守ったものとなった事実は、大東亜戦争が祖国日本に叛逆する悪魔の戦争だったことがわかる。
 
 中川八洋は筑波大学名誉教授であり、国際政治学、政治哲学、憲法思想の大家だそうである。しかし、中川は「大東亜戦争たった一つの真実」として、近衞文麿にこそ大東亜戦争の戦争責任があるとの論を展開する。引用した文章には続きがある。

  このことはまた、近衞文麿なる人物がなす、親英米の自由主義者ぶったり、「皇道派」の革新将校と交流してより過激左翼の「統制派」の軍人と派手な対立をしたり、陸軍中枢は共産主義者に牛耳られているとの核心の情報を吐露したり、のさまざまな演技がやはり超一流であることを如実に証明していよう。近衞文麿、それは日本共産党員であった恩師の河上肇の薫陶を忠実に守った(ソ連を祖国と考える)ラディカルな真正の共産主義者であった。
 
 「祖国日本に叛逆する悪魔の戦争」を仕掛けたのは、真正の共産主義者近衞文麿であったというのが、政治哲学者を自称する中川八洋の説である。ここにも、天皇の戦争責任を避けようとする下心が見えてくる。近衞に対ソ特使役を依頼したのは天皇であることをあえて避けて通っている。対ソ密約が天皇と近衞の合作であることは自明の理である。
 中川八洋のこの本はまるで悲劇の書である。どうしてか。日本人を、特に軍人たちを人間扱いしていないからである。次に引用する文章を読まれて、この本が悲劇の書であることを知ってほしい。
 
  陸軍の中枢はまた、共産主義者が大半を占めていたから当り前だが、彼らは「反日」であり、自由主義の米国と戦争することを”大義”としていた。日本の国土や国民を守る気などさらさらなかった。だから、日本を焦土とする「本土決戦」とか、日本の婦女子の大量死亡を招く「一億玉砕」とかを、平然と絶叫できた。一九四五年八月の、満洲で起きたソ連軍の電撃的な大規模侵攻に、婦女子を含む百五十五万人の一般邦人を置き去りにして関東軍がさっさと武装解除したのも(八月十九日)、関東軍の参謀部が松村知勝や瀬島龍三らのコミュニストで支配されており、日本の婦女子がロシア兵にレイプされることを計画的に実行するためだった。
 
 なぜ中川八洋の本が”悲劇の書”なのか。戦争のすべての責任を、近衞文麿を中心とするごく一部の政治家と軍人たちに被せようとしているからである。
 この中川八洋と同じ思想を持つ現代史家が「軍人悪人説」を唱えている。先に紹介した保阪正康、半藤一利、秦郁彦らの現代史家たちが声を一にして、「天皇無罪論」を主張し続けている。ここに何か大いなる作為がないのだろうか。天皇無罪論を打ち破らなければ、日本人は永遠に真実から遠ざかるばかりである。》
以上、30~32頁

 

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著者略歴
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著者について
鬼塚英昭(おにづか ひであき)
ノンフィクション作家。1938年、大分県別府市生まれ、現在も同市に在住。九州一のヤクザ組織を築いた別府石井組初代組長の境涯を追った『石井一郎の生涯~別府劇場任侠篇』を私家版で2003年に刊行、以後国内外の膨大な史資料を縦横に駆使した問題作を次々と発表する。昭和天皇の隠し財産を暴いた『天皇のロザリオ』、敗戦史の暗部に斬り込んだ『日本のいちばん見醜い日』、原爆開発から投下までの新事実を渉猟した『原爆の秘密』、世界権力の真の支配者を敢然と特定した『20世紀のファウスト』、日米の原子力利権を追跡した『黒い絆──ロスチャイルドと原発マフィア』を刊行。また、現代史の精査の過程で国際経済の重要な欺瞞構造に気づき、金価格の急騰を予見した『金の値段の裏のウラ、サブプライム恐慌の本質を見破り、独自の視点で真因を追究した『八百長恐慌!』、トップ企業を通して日本経済を襲う大激浪を描く『トヨタが消える日』、金融マフィアの思惑を先読みした『ロスチャイルドと共産中国が2012年、世界マネー覇権を共有する』、国際金価格の暴騰と急落の人為的メカニズムを解明した『金は暴落する!』、時間とマネーの秘密を暴いた『世界最終恐慌への3000年史』(上記いずれも小社刊)などで経済分野にも進出、御用作家たちが決して語らない真実を暴露している。

 

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所蔵
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国立国会図書館 あり(請求記号:GK127-J45)

http://iss.ndl.go.jp/
都立中央図書館 あり(請求記号:289.1/ セ1019/ 602)
https://catalog.library.metro.tokyo.jp/winj/opac/search-detail.do?lang=ja
都立多摩図書館 なし

 

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情報元
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他文献
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備考
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・刷情報;2012年4月30日初版第2刷
・装幀;フロッグキングスタジオ
・編集協力;デジタルスタジオ
・オビ写真;共同通信社
・本文写真;共同通信社、ウィキコモンズ

 

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内容
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・《大勲位・中曽根康弘かく語りき!
「政権が汚辱で倒れても、日本には超越的存在としての天皇がおられます。俗界の飛沫は天皇には及ばない。否、及ぼさせてはならないのです。
この二重構造によって日本の伝統と民主主義との調和があり、求心力と遠心力の均衡、いわば歴史的知恵の作用で、日本の自由民主主義は維持されていることを認識すべきなのです」
これが「てんのうはん」の存在理由だ!》(以上、カバー折り返しより。)
著者は、こうした立憲君主制を「田布施システム」と名づけ、批判する立脚点で一貫している。

 

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更新履歴
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2013-05-27

 

 

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